「あっ水が流れている」思わず僕は口に出してしまった。
午前2時、月光に照らされた滝からブッシュの多くの生命をはぐくむ水が青い三段の帯となって闇の中に落下している。
ここは西オーストラリア キンバリーのベルゴージ。
この一ヶ月間半、僕は西オーストラリアのブッシュを旅している。
2年前の99年に初めてここを撮影した。
その時は夕陽に照らされた滝を撮影した。
今回は月光のもとで撮影しようと思い深夜にここにやってきた。
大自然であるから水は流れていて当然で、ディズニーランドのアトラクションではないので夜はストップするわけがない。
しかし大自然の神様は人間が眠りについた深夜は神々の宴でもして水を止めてしまっているのかと思った。
しかし月の光に青く輝いた水がまるで大自然の生命の卵を運んでいるみたいにそれは流れていた。
キンバリー地方はテーブルマウンテン、湿地帯、砂漠、海岸、
そしてバオバブの木や渓谷とひたすら風景の変わらないオーストラリアでもかなり変化が多い(それでも100キロ単位の風景)。
この数年僕はここの撮影にはまっている。
特に今までのオーストラリアでは、砂、岩、水をメインテーマにしていたので今年は水にしようと思っている。
だから今回もインド洋のエイティーマイルビーチにはじまり、キンバリーでの多くの滝を撮り、
そして最後はブルームのインド洋の落日でしめようと思っている。
ここは1988年に初めてバイクで来た。
インド洋に面した真珠取りの町で昔三千人近い日本人のパールダイバーがいた。
今でも二千人近い人々の魂がこの地で永遠の眠りについている。
最初にここに来たとき、その夕陽の変化に驚いた。
オージー達もマジックサンセットと呼び、オーストラリアでも最も夕陽の美しい場所と言われている。
今回もその夕陽を見るため、そして、ビーチで美女を見るため?にここに6日間ついやした。